日本の法律では、盗聴行為そのものに対する法律というのは、はっきりしたものがありません。

 また、日本では盗聴器を調査発見するために必要な資格も、法律上はまだありません
まれに、『盗聴器調査発見に必要な資格』と、謳っている業者を見かけますが、これは虚偽であり、誠実さに欠ける表現と考えられるので、このような業者に依頼することは避けなければなりません。

盗聴器を撤去する時点で、資格が必要なケースもありますので、併せてチェックしておきましょう。

盗聴行為に関する法律

 残念ながら、現在の日本の法律では、盗聴行為そのものを規制する法律がありません。実際に検挙に至るには、他の法律による別件逮捕に頼らざるをえないのが現状です。
 以下に、関連する法律を挙げておきます。

不法住居侵入

 正確には刑法130条に規定する住居侵入罪。正当な理由がないのに、人の住居や船などに侵入する行為で、未遂も処罰されます。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金。

ストーカー規制法

 ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)では以下の行為等を、「つきまとい等」として規制しています。

・その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
・電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
・その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
・ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復してすることをいう。

また、ストーカー行為をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。禁止命令に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。

これらの行為の中で、盗聴、盗撮が行われる可能性があります。

わいせつ物頒布等

 刑法175条に以下の条文があります。

わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

 裸の盗撮映像の販売などは、これに当たります。

電波法

 電波法第59条により、盗聴した音声などを、第三者に話した場合は電波法違反となります。

 何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。

電気通信事業法

 電気通信事業法第4条により、電気通信事業者は知り得た情報を漏らしてはならないとされています。

・電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
・電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。

迷惑防止条例

 各都道府県などで、独自に制定されている条例のひとつ。例えば、田代まさしが、入浴中の女性を盗撮したものなどがこれに当たります。

盗聴器調査や発見に関する資格

 法律上定められた資格はありませんが、各団体が独自に制定した資格があります
過去にあさがを通信技術にて取得した資格がいくつかあります。以下に挙げておきますので、参考にされてください。

情報漏洩管理士

 (株)シップの代理店である盗聴バスターズに与えられる資格。
代理店になるための費用(調査機材、講習料など)を支払い、4日間の講習後、与えられる。
(株)シップの代理店であることが条件なので、資格を維持するためには、代理店ロイヤリティを払い続けることが条件。
代理店契約を解約すれば、資格は失効される。

全くの初心者が4日間の講習だけで取得できるので、高度な盗聴発見技術の保証にはならないが、(株)シップの管理下にあるため、悪徳業者ではないという証にはなる。
また、資格取得後に実際の調査をしていない休業業者もあるが、、独自に研究する盗聴バスターズもいるので、かなり高度な技術を持つ業者もある。

※ あさがを通信技術は、2000年11月に前運営会社の(株)日本第一無線にて取得、2003年10月に代理店契約の解約を申請し、現在はこの資格を所有していない。

【2008年10月現在】

情報安全管理士・通信傍受対策技士

 NPO法人 日本情報安全管理協会の認定資格。

通信傍受対策技士二種、一種、特殊、総合監理と4段階の資格に分かれ、現在二種、一種のみ資格認定が行われている。二種は実務経験がなくても十分合格できるレベルであるが、一種受験には二種の資格が必要である。

特に、業務として必要と考えてない方でも受験対象なので、気軽に挑戦してみるとよい。
協会のホームページに「こんな方に適しています。」というのがありましたので、以下に引用します。

■盗聴器の探査・発見業務に従事している方(二種・一種)
■盗聴対策技術に興味のある方(二種・一種)
■一般住居の防犯関連の仕事をされている方(二種)
■企業内情報セキュリティのご担当者(一種)
■盗聴器に対して自分自身で防衛したい方(二種・一種)など

資格取得者には、厳しい倫理規定があるので、悪徳業者ではないという証にはなる。

ただ、協会HPを見る限り、2018年2月に受付開始となっているが、2018年1月の通信傍受対策技士特種を最後に資格試験は行われていないようである。

※ あさがを通信技術は、2004年4月に二種を、7月に一種を取得、この資格の必要背ウィを感じなかったので2008年8月の更新を行わなず、現在はこの資格を所有していない。

【2019年6月現在】

警察署への届出など

 また、盗聴器、盗撮カメラの調査発見以外に、関連性のある業務を行っている場合は、都道府県公安員会などへの届け出、あるいは認定が必要になってくる場合があります。
もちろん、盗聴器や盗撮カメラの調査発見専門業者には不要なものです。

参考までに、以下に示します。
他に「許可」が必要な業種もありますが、盗聴盗撮発見業者に関連性のあるものはなさそうなので、割愛させていただきます。

都道府県公安委員会への届出

 探偵業、古物商、自動車教習所、クリーニング業、理容業・美容業、出会い系サイト・店舗、性風俗、予測交通情報を提供等の事業を行おうとする者、赤・黄のパトライトを使用する緊急指定車両などは、事前に都道府県公安委員会への届出が必要となっています。 

 なお、あさがを通信技術は、盗聴器調査発見専門業であり、「探偵業の業務の適正化に関する法律」による「探偵業務」(以下参照)を一切行っておりませんので、探偵業の届出は出しておりません。

第二条  この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

神奈川県警察本部生活安全課生活安全総務課、保土ヶ谷警察署生活安全課、及び警視庁町田署生活安全課に、届出の必要なしと確認済みです。

都道府県公安委員会の認定

 警備業、運転代行業、運転免許取得者教育、特例風俗営業など。
こちらは、申請すれば受理される届け出と違い、公安委員会に審査されるわけですから、認定される方が難しいと言えます。

発見された盗聴器や盗撮カメラの撤去に必要な資格

 盗聴器や盗撮カメラの調査発見自体は、法的な資格は必要ありませんが、それらが設置されている場所によっては、撤去する場合に以下の国家資格が必要となります。
見つかった盗聴器、盗撮カメラを撤去してもらう際には、調査員が資格保有者であるか確認し、資格保有者でない場合は、別途資格保有者を有する電気工事店、電話工事会社などに依頼しましょう。

 ちなみに、あさがを通信技術の盗聴器調査責任者は、工事担任者 AI・DD総合種、および第二種電気工事士の資格を所有しております。

 

電気工事士

電気工事士法では

第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物に係る電気工事の作業(一般用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。以下同じ。)に従事してはならない。

と、あります。 コンセントの裏などの盗聴器の撤去のような、電気工事を行う際には、電気工事士法に定められているとおり、国家資格である電気工事士の資格が必要です。

特に、以下の様な設備の場合は、第一種電気工事士の資格が必要です。

  • 発電所、変電所、最大電力500KW以上の需要設備に設置する電気工作物
  • 構内に設置する小出力発電設備以外の発電設備

つまり、一般的な事務所・店舗などの場合、第二種電気工事士の資格が必要となります。

以下のような場合は、電気工事士の資格は不要となります。

  • 室内の盗聴器を調査したが、盗聴器はないと判明した
  • 盗聴器の調査により、電池式の盗聴器があると判明したため、撤去した
  • 盗聴器の調査により、二股コンセント内に盗聴器があると判明したため、撤去した

 コンセント裏などの盗聴器の撤去には、電気工事士の資格が必要です電気の知識のない無資格者が、電気器具を触るというのは、違法行為というだけでなく、感電、火災事故の発生等、非常に危険なので、絶対におやめください

あさがを通信技術の盗聴調査責任者は、第2種電気工事士の免状の交付を受けています

 

電気通信工事担任者

電気通信事業法では

利用者は、端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「工事担任者」という。)に、当該工事担任者資格者証の種類に応じ、これに係る工事を行わせ、又は実地に監督させなければならない。

とあります。ここで言う利用者とは、電話回線の使用者、つまり「お客様」、当該工事とは盗聴器を外す行為と置き換えられます。

 つまり、電話回線の途中に仕掛けられた盗聴器を撤去するには、電気通信工事担任者の資格が必要ということになります。
工事担任者の資格にはAI(アナログ)、DD(デジタル)、AI・DD総合種があり、盗聴器が仕掛けられるのはアナログ回線のため、盗聴器の撤去にはAIの資格が必要になります。

以下に、電話回線の規模の違いによる、必要な資格区分を示します。 

工事範囲 実際の例 必要資格
電話回線が1回線 一般家庭のモジュラージャック裏、保安器等 AI第1種~3種、AI・DD総合種
外線50回線、
内線200回線以内
中小規模マンション・事務所店舗のIDF、MDF、交換設備等 AI第1種/2種、AI・DD総合種
回線数無制限 大規模マンション・事務所・店舗のIDF、MDF、交換設備等 AI第1種、AI・DD総合種

※ ただし、以下の工事については、工事担任者を要しない

* 技術基準適合認定を受けた端末機器であって次の方法により接続するとき。

  • プラグジャック方式。
  • アダプタ式ジャック方式。
  • 音響結合方式。(音響カプラ)
  • 電波により接続する接続の方式。(無線LANなど)

例えば、以下のような場合は、工事担任者の資格者は必要ないわけです。

  • 電話回線設備の盗聴器を調査したが、盗聴器はないと判明した
  • 電話回線の盗聴器を調査したら、電話ケーブル延長プラグに盗聴器があると判明したため、撤去した

※ 一般家庭でも、モジュラージャック裏やIDF、企業・店舗でも同様に、取り付けられた盗聴器を撤去するには回線数に応じた種別の工事担任者資格が必要になってきます。

工事担任者資格所有とうたっている場合でも、必ずその種別をご確認ください。
たとえば、アナログ3種、AI3種で2回線以上あるところの電話回線上の盗聴器を撤去することは違法となります

あさがを通信技術の盗聴調査責任者は、AI・DD総合種工事担任者資格者証の交付を受けています