「盗聴されている」とおっしゃる方の一部は

「絶対盗聴されているんです。とにかく早く取り外してください」
と言う要望がたまに来ます。実際調査してみると・・・


 
盗聴器がない場合がほとんどです。
なぜ、盗聴されていると思われるのかお尋ねすると、こじつけとしか思えないような理由が出てきます。本人は、至ってまじめなのですが...
以下のようなことは、珍しいことではないのです。
「根拠」あった 盗聴妄想

〜前 略〜

 まず、ケースワーカーの広瀬隆士さんが1時間、話を聞いた。男性は、20歳代後半の4年間、東ドイツに留学した経験や、仕事の悩みについて話した。
 留学先では、電話の途中で雑音が入り、盗聴されていると分かった。日本からの手紙は、常に封を開けられた跡があった。共産党政権下で、盗聴や検閲は日常茶飯事だった。
 食堂などで相席になった人に話しかけても、会話が続かない。話が曲解され、公安当局に通報される恐れがあると考えた相手が、口をつぐむのだ。
 「盗聴器やスパイが身近に存在した。管理社会の恐ろしさが頭に焼き付いた」と男性は振り返る。

〜 中 略 〜

 統合失調症にみられる妄想は、理屈に合わない、奇異な内容だ。
 これに対し、男性の場合、盗聴器やスパイの妄想は、留学時代の経験がもとになっていることが分かった。だが、「統合失調症」と判定した医師は、男性のそうした話を聞くことなく、診断をくだしていた。
 三吉クリニック院長の三吉譲さんは「典型的なうつ病。被害妄想は、それに伴う症状」と判断した。それまでの誤った治療で、うつ病は悪化していた。

〜 後 略 〜
2008年10月30日 読売新聞:シリーズこころ 「これ、統合失調症?」より

たいていの場合は、統合失調症なのですが、上記の場合は「うつ病」だったらしい。
いずれにしても、しっかりとした精神科での診断が、必要不可欠なのは変わりありません。